言葉と文化
「正しい英語」と「伝わる英語」は違う
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少し前に、あるお客様から英語のキャッチコピーを見せていただきました。
ネイティブにチェックしてもらったばかりだ、とのことで、文法的には問題なし。でも何か引っかかるものを感じて、しばらく眺めていました。
正確には書けている。でも、読んで何も感じない。
そのときに改めて思ったのは、「正しい英語」と「伝わる英語」は、別のスキルだということです。
正確さは、最低条件にすぎない
英語に文法ミスがあれば、それは当然直すべきです。でも、ミスがないことは「スタートライン」に過ぎません。
問題は、その先にあります。
読んだ人がどんな感情を持つか。行動を起こしたいと思うか。この会社に連絡してみようと思えるか——そういったことは、文法の正確さとはほとんど関係がありません。
例えば、"We provide high-quality services to our customers." という文。文法的には完璧です。でも、読んでいて何も伝わってこない。どこの会社のサイトにでも書いてありそうな言葉で、その企業固有の「何か」が何もない。
「翻訳」と「ライティング」は別の作業
ここに、大きな誤解があることが多いと感じています。
翻訳は、日本語で書かれた内容を英語に変換する作業です。でも、元の日本語が「ふつうに書かれたもの」であれば、訳しても「ふつうの英語」になります。
一方、英語のライティング——特にウェブのコピーやマーケティング文章——は、読み手の心理や行動パターンを考慮したうえで、言葉を選んでいく作業です。
海外向けに「伝わるサイト」をつくるなら、この二つを別のものとして考える必要があります。まず日本語で書き、それを訳す——というアプローチだけでは、限界があるのです。
では、どう書けばいいのか
「じゃあ何が違うんですか」と聞かれたら、一番大きな違いは「誰目線で書くか」だと思います。
日本語の文章は、どちらかというと「提供者の視点」で書かれることが多い気がします。「弊社は〇〇を提供しています」「〇〇年の実績があります」。もちろんこれは必要な情報ですが、読み手は「それが自分にとって何を意味するのか」を常に考えながら読んでいます。
英語のコピーが上手い文章は、この「読み手にとって何が変わるか」を前面に出すことが多い。Before / After の構図を使ったり、痛みや不満から入ったり。読んでいる人が「これは自分の話だ」と感じられるかどうかを、意識的に設計しています。
文法チェックはもちろん大切です。でも、それはゴールではなく、始まりです。
英語のサイトをつくるとき、「正確か」に加えて「伝わるか」という問いを持つだけで、できあがるものはずいぶん変わってきます。

